マインドマップの考案者のトニー・ブザンは、学生時代から「記憶」について探求を続けていました。
独自の「記憶の法則」を考案した後、ある日、ふと、横書きの文字ばかりでモノクロのそれまでのノートが、まったく「記憶の法則」に適ったものになっていないことに気づきます。
それが、トニー・ブザンがマインドマップを考案するきっかけとなったのです。
つまり、マインドマップは、もともとは「記憶」のためのツールから始まったとも言えるのです。
記憶のためにマインドマップを活用する場合には、マインドマップを復習に活用し、何度も見返すことで長期記憶化することを念頭において、マインドマップを作成すると良いでしょう。
どのようなマインドマップを作るかあらかじめ設計して、そのように作成するというのもオススメです。
では、どのように設計すべきかというと、「記憶の原理」を理解し、それに適ったものを設計するのです。そのように設計して作成されたマインドマップを何度も見直すことで、記憶が強化されていきます。
それでは、「記憶の原理」について、このあとにお話ししていきましょう。
記憶を引き出す際には、ただそのことを思い出そうとするよりも、何かとの関連付けから思い出すほうが容易にできます。
たとえば、鈴木さんという女性の苗字を覚えたいとします。
その人が可愛らしい鈴のイアリングをしていて、頭を動かすたびに綺麗な鈴の音がする様子をイメージして、そのイメージを覚えるようにします。
すると、その方ににお会いした時に、その鈴の音のなるイメージが浮かび、「鈴木さんだ」と思い出せます。
実は、私たちの脳は、「鈴」という言葉や文字よりも、「その女性が頭を動かすたびに綺麗な鈴の音がする」という「イメージ」のほうが覚えやすいのです。ですので、記憶をしようと思ったら、そのイメージに名前を結びつけるのです。
私たちは、一面に文字ばかり詰め込まれた1枚の紙の内容を、パッと見ただけで覚えることはできませんが、一枚の絵であったらどうでしょうか?
おそらく、一度見た絵は、1ヶ月後にもう一度見たら、「ああ知っている」と思い出せるでしょう。
絵、つまり「イメージ」というのは、記憶に残りやすいのです。
マインドマップは、それ自体が「一枚の絵」に見えます。そのため、マインドマップにしたものは記憶に残りやすいのです。また、マインドマップの各場所にイメージを描き込んでおくと、そのイメージが、記憶を引き出すフックの役割を果たします。
「ああ、あそこにあのイメージがあったな」という風に、思い出すためのきっかけとなります。
では、描き込んでおくのは、どのようなイメージでもいいのかというと、そうでもありません。イメージは、ちょっと目立つもの、変わっているもの、ユーモアがあるものなど、特徴が際立っているもののほうが忘れにくくなります。
記憶のマインドマップを作る際には、遊び心を発揮して、ちょっと変わったユーモラスで目立つイメージを作り出し、マインドマップの中に描き入れてみてください。マインドマップを思い出す時に、その面白いイメージがフックとなり、その周りのものも、芋づる的に徐々に思い出されてきます。
思わず笑いがこぼれるようなイメージが作れれば、これはもう、努力せずとも忘れられなくなりますよ!
もう一つ、大切な「記憶の原理」に、「場所と結びつけると覚えられる」というものがあります。
マインドマップの各場所に印象的な面白いイメージを配置しておくと、「右上には、あの絵があった。左下には、あのイメージがあった」というように、そのイメージは、場所とともに思いだされてきます。
頭の中で、視覚的にマインドマップが再現されていく中で、記憶がよみがえってくる感じです。つまり、記憶は、場所とも紐付いているということです。
記憶のマインドマップを作成する際には、場所も記憶と関係していることを意識すると、効果的なマインドマップが作成できますよ!