塚原美樹です。
マインドマップの考案者であるトニー・ブザンが教えてくれた「ダ・ヴィンチの法則」。
その二つ目は、「芸術の科学を学ぶ」です。
実は私は、20代から30代にかけて17年間歌手の仕事をしており、毎日、ライブハウスなどでポピュラーミュージックを歌う仕事をしていました。
ポピュラーミュージックは、エンターテイメントとも言えますが、アートの一面も持っています。アートと言うと、ちょっと堅苦しいイメージですが、ポピュラーであってもやはりアートですよね。
実は音楽は、数学と非常に深い関わりがあるのをご存知ですか?
リズムは、非常に数学的ですし、和音や音階も数学的です。
たとえば、ポピュラーでもよく使われる「二拍三連」というリズムは、二拍の長さの中に三拍を入れるもので、その一拍の長さは通常の一拍の「2/3」になります。
「2/3×3=2」ですので、一小節の長さは、同一に保たれるということになっています。4拍子の曲が、一部分だけ3拍子になるというような「変拍子」というリズムも同じです。
4拍子の時も3拍子の時も、一小節の長さは同一です。もちろん、感覚的には、3拍子になった時に、少しゆっくりになった感じがします。また、4拍子は安定感を感じるのに対し、3拍子は揺れる感じや回る感じを感じさせます。
こんな数学的なもの、論理的なものが、なぜ音楽というアートの中に存在するんだろうと思うほど、音楽は数学的ですよね。考えてみると、黄金比とか、バッハの黄金律という言葉があるように、「美」の中には規則性や法則性といったものがあるのでしょうね。
個々の人間によって感覚は違うはずなのですが、そうは言っても、我々は宇宙の一部とも言えるわけで、やはり、自然界の規則性や法則性に、その感覚を左右されているのでしょう。
デザインの世界の話では、東京オリンピックの新しいエンブレムに選ばれた藍色のマークが有名ですね。
あのエンブレム、数学的な規則性を持って作られているということは、お聞きになったことがあるのではないでしょうか。おまけに、オリンピックとパラリンピックのマークに使われているパーツは、すべて同一で、並べ替えるだけで、オリンピックからパラリンピックにマークが変わるのだそうです。
こう考えてみると、なんとなく「芸術の科学を学ぶ」という言葉の意味が見えてきませんか?
私が大好きな歌手であるフランスのシャルル・アズナブールは、リズムを無視したような歌い方が得意で、どうやって歌っているのかさっぱりわからないのですが、バックバンドはリズム一定で演奏しているのです。そして、きちんと、どこかで拍子は一致する。
アズナブールは拍子を無視しているように歌っていますが、天才的なリズム感の持ち主で、拍子を崩しても必ず元に戻す能力があるのです。そして聴き手は、どこかで拍子が一致するからこそ、その歌に美しさを感じるのですよね。
これが、まったく拍子があわず、無茶苦茶だったら、そうは思わないでしょうね。やはり、芸術であっても、数学的、論理的でないと、本当の美しさを作ることはできないのですよね。
ちなみに、ギリシア神話に出てくる9人の芸術神 (ミューズ)の一人であるポリヒュムニアは、音楽と幾何学の神として知られているんですよ。太古の昔から、人間はアートとサイエンスの関係を知っていたのでしょうね。
さて、マインドマップを使えば、アートとサイエンスの両方に近づけます。
あなたも色や形を使って、美しいマインドマップを作成しながら、サイエンスについて考えてみませんか?
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シリーズ記事 「トニー・ブザンのダ・ヴィンチの法則」