塚原美樹です。
今回は、マインドマップを使ったブレインストーミングの方法について解説したいと思います。
「ブレインストーミング」という手法は、もともとは、アメリカの広告会社BBDOの創立者の一人であるアレックス・オズボーンが考えた方法です。
- ブレイン: 脳
- ストーム: 嵐
ですから、「脳の嵐」ですね。
簡単に言うと、何人かが集まって、テーマについて奇想天外なアイデアを、グチャグチャでいいので、とにかく出しまくるという手法です。他の人のアイデアから新しい連想が始まり、一人で考えるよりも、より多くのアイデアが出せると考えられています。
確かに、奇想天外なアイデアを考えている最中は、脳の中で嵐が起きているみたいな感じかもしれないですね。
1.ブレインストーミングのルール
ブレインストーミングは、以下の4つのルールに則って行います。
- 結論厳禁
アイデアを制限するような判断は慎みます。実行可能性は後から考えますので、まず、実行可能か不可能かなどは考えず、アイデアをどんどん出しましょう。
- 自由奔放
バカバカしいと思われるようなアイデアこそ歓迎して、どんどん出しましょう。常識的な考えよりも、ちょっとおかしい、ハメを外しすぎているというくらいのアイデアのほうが、良いものになります。
- 質より量
アイデアの質にはあまりこだわらず、量を出しましょう。最初から質を求めると、脳が制限されてしまいます。くだらなくても、バカバカしくても、とにかく量を出すことです。
- 便乗歓迎
他の人のアイデアに便乗して、アイデアを出すのも歓迎します。そもそも、複数名で行い、相互に影響しあいながらアイデアを考えるのがブレインストーミングですから、誰かのアイデアに何かを付け足したり、変化させたりして、新しいアイデアをどんどん出しましょう。
2.ブレインストーミングの準備
上記のように、自由奔放な考えをどんどん発言してもらおうとしても、参加メンバーの頭が普段の仕事のモードになっていて、解放されていないと、なかなかアイデアが出てこないものです。
ですので、ブレインストーミングの前に、準備運動的に少し遊びを入れると良いかもしれません。
たとえば、このシリーズ記事のNo.4でご紹介した「Yes, And」でつなぐ連想法をチームでやってみると、少し頭が柔なくなってくるかもしれません。
「ハワイに行ったら何がしたい?」というようなテーマで、グループメンバー全員で準々に「Yes, And」の連想をしてみてください。声に出して言うだけで構いません。
「ハワイに行ったら何がしたい?」
↓
「バーベキューしたい」
↓
「いいね、それと、サーフィンもしたい」
↓
「いいね、それと、フラダンスもしたい」
↓
「いいね、それと、シュノーケルもしたい」
↓
「いいね、それと、カラオケもしたい」
↓
「いいね、それと、ショッピングもしたい」
↓
「いいね、それと、探検したい」
↓
「いいね、それと、変装したい」
↓
「いいね、それと、いたずらしたい」
こんな感じです。バカバカしいようなアイデアが出ても、必ず「いいね、それと」でつないでいくことで、ブレインストーミングのルールの「自由奔放」がしやすいムードになりますし、自分の番が来たら、とにかく何か言わなくてはならないので「質より量」のルールも実行できます。
こういったアイスブレイクは、ほんの2~3分でできると思います。
その会議の主催者なり世話役なりが、これから行うブレインストーミングのルールを伝え、「頭の体操としてやってみましょう」という感じで、参加メンバーをほぐすようにして、やってみてください。
3.「SCAMPER」でブレインストーミング
オズボーンのブレインストーミングは、「オズボーンのチェックリスト」を使いながらアイデアを考えます。
「オズボーンのチェックリスト」をまとめ直したものが「SCAMPER」というフレームワークです。ですので、「SCAMPER」を使いながら、ブレインストーミングを進めてみましょう。
テーマに対して以下の一つ一つの質問を考えて、アイデアを出し合えばいいのです。
SCAMPER
- S: Substitute (代用・代替)
他のもので代用できないか?
- C: Combine (結合)
組み合わせたらどうか?
- A: Adapt (適応する)
別のものをこちらに使えないか?
- M: Modify (修正変更する・修飾する)
変えたらどうなるか?
- M: Magnify (拡大)
大きくしたら? 誇張したら?
- M: Minify (縮小)
小さくしたら? 軽くしたら? 分割したら?
- P: Put other use (転用)
他の使い道はないか?
- E: Eliminate (除去)
何かを取り除いたら?
- R: Reverse (逆転)
逆にしたら?
- R: Rearrange (再編)
部分と部分、要素と要素を入れ替えたら?
4.マインドマップでブレインストーミング
オズボーンのブレインストーミングは、特に板書の仕方などは指定がありません。ですが、せっかくですので、マインドマップでブレインストーミングを見える化しましょう。
誰か一人がファシリテーターになり、ホワイトボードにミニマインドマップをかくと良いでしょう。ブレインストーミングのアイデアはまとまりがありませんので、ミニマインドマップが適していると思います。
この際、大事なことは、全員のアイデアを、すべて見える化するということです。ファシリテーターが勝手に判断して、出てきたアイデアを排除しないようにしましょう。
アイデアが見える化することで、便乗がしやすくなるはずです。口頭だけでのブレインストーミングですと、前に出たアイデアに便乗するのが難しいですが、マインドマップにかいておくことで、いつでも見て、ひらめいたら新たなアイデアを追加することができます。
5.マインドマップでまとめる
ブレインストーミングで出したアイデアは、最終的には実行可能性なども判断して、まとめていかなくてはなりません。
この時もマインドマップだと、とても簡単に行えます。
- ホワイトボードに書かれているミニマインドマップのアイデアの中で、面白いと思うものに、別の色のマーカーで、「◯」をつけていきましょう。
- まとめられるものがあったら、まとめます。矢印を渡したり、同じマークをつける、同じ色で印をつけるなど、工夫することで、マインドマップの中でまとまりを作ることができます。この際、アイデアとアイデアがくっつくことで、新しいアイデアが出てくることもあるはずです。
- 「◯」のついたアイデアやまとまってきたアイデアについて、実行可能性を検討してみましょう。この時も「実行できるかどうか?」と考えるのではなく、「実行可能にするための良い方法は?」と考えたほうがいいです。実行可能にするためのアイデアが出てきたら、そのアイデアもマインドマップに書き足します。
- この段階になると、ホワイトボードのミニマインドマップは、書いていることが増えすぎて、だんだんグチャグチャになっているはずです。それで構いません。マインドマップの形にこだわる必要はありません。色や形、マークなどを上手く使いまとめていきましょう。次第にチームとしてのアイデアが、いくつかに絞られてくるはずです。
さて、いかがですか? あなたも、一度、「マインドマップ・ブレインストーミング」やってみてくださいね。
シリーズ記事 「マインドマップでアイデア創造」